私の好きな言葉に「凡事徹底」ということがあります。
現在ある環境を整え、それを保ちたいという思いがあります。
なぜ、すきというかそう思っているのかというのは、次の理由からです。
街中にある、たった1枚の窓が割れました。それを放置すると、
その街は、どうなると思いますか?
答えは、「放置すると、街全体の治安が悪化する」です。
これは、アメリカのスタンフォード大学の心理学者が提唱した、「割れた窓理論」です。
「割れた窓を放置していると、人の目が届かない場所であると受け取られ、
小さな犯罪を誘いやすく、やがて、それがエスカレートして、いずれは大きな犯罪につながる」
という考え方です。
この「割れた窓理論」を応用して、ある意外な方法で凶悪犯罪を激減させた、
「ニューヨークの地下鉄で行われた驚異の犯罪撲滅プロジェクト」がありました。
1970年以降、ニューヨークでは犯罪が増加し、
しだいに危険な街と呼ばれるようになっていきました。
1990年、ニューヨーク市警察が発表した年間の殺人事件は史上最多の2245件を記録しました。
ところが、驚くべきことに、その後、殺人事件が減り始め、1998年には633件にまで急激に減少、
さらに、凶悪犯罪の総数も半分に減少しました。
これはなぜでしょうか?
1980年初期、ニューヨークでは特に凶悪犯罪の取り締まりに力を入れていました。
しかし、警察の捜査は追い付かず、なかでも当時の地下鉄で凶悪犯罪が多発し、
利用者は過去最低までに落ち込んでいました。
そこで、地下鉄を管理する交通局では、パトリールや警備強化の対策をとりましたが、
なかなか治安が回復することはありませんでした。
そこで1984年、交通局は150万ドル、日本円にしてやく1億5千万円以上の費用を投入して
治安回復プロジェクトを立ち上げました。
巨額の費用を投じてまず行ったことは、「落書きを消す」ことでした。
当時のニューヨークの地下鉄は、駅のホームや車輌すべてが
おびただしい落書きでおおわれていました。
落書きを消すという提案に、凶悪犯罪をもっと取り締まるべきだ、
と反対の声が多かったそうです。
しかし、とにかくすべて落書きを消していきました。
6000もの車輌一面に書かれた落書きも消していきました。
そして、プロジェクト開始から5年後の1989年には、ようやくすべての落書きを消し終えました。
すると、地下鉄内で増加する一方だった凶悪犯罪が減少し始めたそうです。
第2弾として、「軽犯罪の取り締まりを強化する」ことに徹底しました。
落書きを描く、車内で喫煙、無賃乗車など、今まで凶悪犯罪のかげにかくれていた
軽犯罪を強い姿勢で取り締まっていきました。
すると、2年後、凶悪犯罪も減少し始め、1994年までには約半分にまで減少し、
ニューヨークの地下鉄は、落書きと軽犯罪の取り締まりによって治安が回復していったそうです。
一つ目の窓を割るのに抵抗感があってなかなかできません。
ですが、2枚目は抵抗が少しなくなります。何枚も割れていると、
自分ひとりじゃないし・・・という気持ちが生まれ、犯罪感が薄れてしまうものなのです。
そして、新たなランクアップした犯罪をする人が出てくることになります。
つまり、「小さな秩序の乱れがいずれ大きな乱れを生む」という教訓です。
この「割れた窓理論」には、日常生活を豊かに安全に過ごすためのヒントがあると思います。
「あいさつをすること」
「時間を守ること」
「誰が見ていなくても手を抜かず掃除をすること」
「整理整頓すること」
など、そんな小さなことが、実は職場や学校全体の安定と平和につながっていくと、
私は思います。
そして、そのような人になるよう、、、いやなれるようしっかりと心に留めたいと思います。